教科書改善の会

改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会(代表世話人・屋山太郎)

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育鵬社執筆陣が語る―教科書づくりに込める思い

育鵬社執筆陣が語る―教科書づくりに込める思い

 現在進行中の育鵬社の教科書編集作業について、伊藤隆氏・田中英道氏・川上和久氏・八木秀次氏がその思いを語り合った座談会記事「育鵬社執筆陣が語る―教科書づくりに込める思い」の全文を掲載します。(平成21年6月25日付 國民新聞)

◇育鵬社執筆陣が語る―教科書づくりに込める思い

 「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」(教科書改善の会、屋山太郎代表世話人)は、平成22年度検定に向けて扶桑社の教科書事業を継承するフジ・サンケイグループの出版社、育鵬社の中学歴史・公民教科書の編集作業を支援している。
 同編集会議の中心メンバーである伊藤隆東京大学名誉教授、田中英道東北大学名誉教授、川上和久明治学院大学副学長に、教科書づくりに込めた思いを聞いた。司会は教科書改善の会の事務局を担当する一般財団法人日本教育再生機構の八木秀次理事長。


◇左翼批判の落し穴

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八木 現在、教科書改善の会は、育鵬社が平成22年の検定に掛ける中学校の歴史・公民教科書の編集作業を側面支援していますが、歴史・公民それぞれの教科書の中心執筆メンバーである伊藤先生、田中先生、川上先生に現在の進捗状況や編集の方針などについて伺えればと思います。原稿の進捗状況は如何ですか。
伊藤 歴史は扶桑社版のよき面は継承しつつも、基本的に全面リライトを行っています。本文はほぼ完成し、現在、私を含め歴史学の専門家が厳しい目でチェックしています。
 扶桑社版の記述は、勿論他社の教科書に比べて格段に内容はいいのですが、田中先生がよく指摘されるように、左翼史観や自虐史観の単なる裏返しになっている嫌いがある。また、私の目から見ても、例えば、近代の朝鮮半島に関する記述など、こなれていないと思うようなところもある。
 私としては、左翼史観の単なる裏返しのようなものではなく、日本の歴史は他の国と比べても極めて恵まれているのですから、今の中学生が日本の歴史に自分が連なっているという自覚を持ち、ああ日本に生まれてよかったと自然と思ってくれるような教科書にしたいと考えています。その意味では、今度の原稿は非常に良くできていて、皆さんの期待に応えられるものになっていると思いますね。
八木 田中先生は扶桑社の教科書の巻頭グラビアに日本の美術の写真を掲載されるなど、他社の教科書に足りないのは文化史の視点だと主張されてきました。
田中 文化史、美術史を際立たせることは扶桑社教科書の重要な視点だと思います。これは育鵬社版でも継承していきます。
 伊藤先生も述べられましたが、他社の教科書のベースにあるのはマルクス史観、階級闘争史観です。それは唯物史観と言えますが、それに代わるものは文化史観だと私は考えています。だから、唯物史観の単なる裏返しではいけない。扶桑社版の記述はただ、左翼や自虐を打ち消すだけ、といった面が一部ある。私はそれを改善したい。
 今は日本人の誇りを伝える歴史観が、社会で受け入れられています。左翼史観は一般ではもう死んでいる。ですから次回は、歴史を自然に肯定できるような教科書、国民の自覚が自然と伝わる教科書とすべきです。
川上 一般人の感覚にも鋭く届くような教科書でないと、現場の教師や教育委員会をとても説得できない。その意味では、田中先生が責任編集の『日本史の中の世界一』(育鵬社)は、世界に誇る日本の「財産目録」を50項目とり上げて、専門家による解説がなされています。これは単なる左翼批判ではないし、豊かな日本文化の姿を伝える本来の歴史教育の試みですね。
田中 縄文土器や神話、聖徳太子、伊勢の神宮や万葉集、源氏物語、森林保護、江戸時代の技術や学問文化といった、戦後思想ばかりか保守派の言論人でもきちんと語れないような文化史の分野を、とくに重視しました。それは、こうした文化史的な教科書記述の充実が、今後の歴史教育の決め手になると考えたからです。
八木 左翼への批判はできても、日本の文化や古典については実感を込めて語ることのできない論壇人は、実は結構多い。近年の保守派の言論が、かえって日本の歴史叙述や文化の素養を貧弱なものにしなかったかどうか、率直に反省すべきでしょうね。
川上 かつて保守論壇の大物は、それこそ和辻哲郎にせよ小林秀雄にせよ、竹山道雄や田中美知太郎も、日本の古典文化に精通した上で、名文を書いていました。
伊藤 歴史とは私たちの「履歴書」や「財産目録」です。これを正しく「相続」すること、これが歴史を学ぶ上で最も大切な感覚ですが、それをどこか突き放したような、自分とまるで関係がない、批判的で冷たい「科学的記述」に終始してきたのが最大の問題です。
田中 そして左翼だけがそうした「科学的記述」の間違いに陥ったのではなかった。いくら戦後教育を激しく攻撃しようと、西洋思想に学ぼうと、それだけで日本の文化や日本人の自覚を本当の意味で生き生きと、豊かに表現できるようになるわけはないのです。


◇日本文化の核心をどう語るか

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八木 たとえば、田中先生は、自然環境との調和こそが日本文化の核心にあって、森林保護の歴史は7世紀の天武天皇による伐採禁止、8世紀の聖武天皇による造林や産業の振興の方針からくることを説いておられます。印象的な記述でした。
田中 近代化や都市化が進めば、木材はどんどん伐採されていきます。日本は、この森林をただ自然に任せるのでなく、植林によって補ってきました。そこに日本人の知恵があって、その自然保護の文化の始まりには天武天皇など皇室のご存在があったのです。
川上 そうした古くからの伝統文化が現代にも通じているという広がり、また皇室にも通じるような日本文化の核心部分について、分りやすく語る視点はとても重要ですね。
伊藤 その点では和歌が大事です。日本人は、それこそ天皇から名もなき庶民まで、五・七・五・七・七の短い詩句の中に自分たちの感情を込めてきた。それが『万葉集』のように今読んでも我々を感動させるというのは、驚くべき文化の連続性です。天皇や上皇は自ら歌を詠み、歌集を作ることに努めましたから、この文化の連続性を守った本当の守護者でしょう。
川上 日本の神社は7万9千社、寺院は7万7千ほどもあります。コンビニでも全国で約5万1千店舗しかないから、日本人にとって神社仏閣はコンビニ以上に身近な存在です。
田中 鎮守の森や五穀豊穣を願う村祭り、お寺のお墓といった共同体を守る仕組みもあって、こうした寺社を大切にする文化の中心にも皇室がありました。私は、日本人の神道信仰には、①自然信仰、②死者や祖先を祭る御霊(みたま)信仰、③天皇家の御霊を祭る皇祖霊(こうそれい)信仰があると考えていますが、これらは聖徳太子に始まる「神仏習合」という世界に類例のない宗教的な調和の精神で一つにまとまっている。日本人の根底には「神仏習合」のように、他者との調和や新しい物を摂取して発展させる精神があります。
川上 日本はこれだけ発展しながら世界で最も森林の多い国であり、実に国土の68%が森林です。イギリスは8%、中国は16%、フランスは24%、ドイツは30%、アメリカは33%ですから、日本は飛び抜けています。これも皇室をはじめとした祖先の懸命な努力のおかげでしょう。まさに伝統文化の賜物なのですが、これは歴史教育だけでなく公民教育でも連動するかたちで教えるべきですね。


◇『歴史』『公民』『道徳』は"三位一体"で

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田中 先の森林保護もそうですが、江戸時代の循環経済的なエコロジーの発想、和紙や陶芸といった現代のハイテクにも通じる高度な技術、それを支える職人気質など、歴史教育だけでは不十分であって、公民教育でも補強して教えるべきでしょう。
川上 オバマ大統領が就任演説で、混迷する「アメリカの再生」のために国民がなすべきことは、「道徳的な愛国心の再生」であると述べています。「・・・我々が成功するかどうかは、労働と誠実さ、勇気、フェアプレー、忍耐、好奇心、忠誠心や愛国心にかかっている。古くから言われていることだ。だが、真実だ。それは歴史を進歩させた静かな真理だった。今求められているのは、こうした真理への回帰だ。・・・我々アメリカ国民一人ひとりが、自分自身や国家や世界に義務を負っていることを認識し、こうした義務を嫌々ではなく、喜んで受け入れることだ」。アメリカが、建国の父たちに精神的な範を求め、アメリカの再生を目指しているように、我々も日本人が営々と培ってきた伝統、精神文化に基づいた国家・国民のあり方を、子供たちに公民教育として伝える必要があります。そして国家的な危機や退廃から立ち直る再生の処方箋を見出すべきです。
田中 新しい学習指導要領には「公共の精神」や「愛国心の涵養」が盛り込まれ、全ての教科や教育活動は「道徳を要(かなめ)として」行うとあります。これをどう具体化していくか。歴史と公民教育、そしてそれを根底で貫く道徳教育を"三位一体"で進めることが、これからの教育の核心になっていく必要があります。それを我々の手で実現していかなければなりませんね。
伊藤 拉致問題や領土・領海、家族、憲法や安全保障の問題など、公民教育の重要性は明らかです。歴史に公民、そして道徳の副教材といった教科書や教材づくりから、具体的に、粛々と進めていくべきですね。


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八木 今の国際社会、現代社会では、先進国同士はなかなか戦争はできませんし、露骨な圧力をかけるにも正当な理由が必要です。そこで戦争の代わりに過去の侵略とか戦争被害とかが持ち出されるのです。
 歴史の記憶を巡って、武器を使用しない戦争や、目に見えない外交の戦いが行われているとみるべきです。ですから、日本の正しい歴史教育や公民教育、根幹となる道徳教育を守るということは、国家の命運を守ることです。もっといえば、中国共産主義などによる脅威や侵略から祖国日本を守る戦いだと、覚悟すべきでしょう。
伊藤 もともと中韓との議論は、殆ど「戦争」をやっているようなものですから。だけど、忘れてはいけないのは、どれほど日本の文化や文明の素晴らしさを伝えようと、いまの日本は自分で自分を守れないような国であるということ。この問題の深刻さを忘れてしまっては、教科書の改善も何もあったものではない。
田中 日本の何を守るべきなのか。それをはっきりさせることによって、国を守る気概を持たせる。それを教育で取り戻し、実現化していく。これが本当の課題でしょうね。
八木 本日は多方面にわたるお話をありがとうございました。育鵬社の歴史・公民教科書の内容に期待しています。


(完)

平成21年6月25日付 國民新聞より転載


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